電波防護指針

これくらいの電波の強さなら問題ないよ、という政府のガイドラインがこれ。
読んだことがある人はわかると思うけど、無線屋さんの常識からすると、驚くほどゆるゆるだ。
#別にもっときびしくしろというのではないけど、普通のところでこんなに出して大丈夫なのか?と感じる程度には強い。
おなじみ2GHz帯で屋内の天井にアンテナを設置するとき、どれくらいパワーを突っ込めるのか試算してみよう。

指針には二つの条件が示されている。わかっている人しか立ち入らない箇所と、一般の人が立ち入る箇所の2種類で基準が異なり、おおむね5倍の差がとられている。ここでは一般の人が立ち入る通常のエリアの基準をとる。
2GHz帯での基準値は電力密度Sで 1 [mW/cm^2]とされている。

S = P*G / (4*pi*r^2)

Pはアンテナ入力、Gは利得、rは離隔(アンテナ〜人体の距離)である。
ゲインはダイポール相当で約2dBiとして、基準値を満たす入力を逆算してみる。

離隔[cm] アンテナ入力[dBm]
1 9
10 19
20 22
50 26
100 29

こんな離隔だと局所的影響も考慮すべきだが、頭部について10 [mW/cm^2]とされているのでこれより厳しい値になることはない。(非局所的影響は、体全体の電力密度の平均値で見る)
また、アンテナの指向パターンは通常横を向いているから、直下での電力密度はこれよりややちいさいと考えられる。
通常頭上の離隔は30cm程度は確保できるから、アンテナに20dBmぐらいつっこんでもOKということになる。
ただし複数キャリアの場合は総電力に対する規制なので注意。