[]朝ぼけーっとN1の地域ニュースを聞いていたら、気になる記事が引っかかったので深掘りしてみる。
同じ周波数で同時送・受信を開発|NHK 東海のニュース
はぁ?同じバンドを切れるフィルタってなんじゃらほいということで、元ネタはこちら。
- 高精度、高速、低計算量で電波干渉を除去 ~次世代無線通信への応用に向けて~(技科大プレスリリース) https://www.tut.ac.jp/docs/PR200511.pdf
- 参考資料:帯域内全二重における非線形ディジタル自己干渉キャンセラの再学習https://www.ucl.meijo-u.ac.jp/master_thesis_open/2019/slide/3-5_slide_takeshiishii.pdf
つまりこいつはアクティブな干渉キャンセラです。最近だと携帯電話の中継局にもついてます。
(ベースバンドの)送信波に伝達関数を掛けて、(ベースバンドの)受信波から引いてやれば邪魔者は理論上消えてくれる…わけなのですが、干渉除去利得は65dBくらい? これだと実用にはかなり足りない気がします。
先行例だと狭指向のアンテナをTx/Rx別々に並べて、回り込みを小さくするのもあるみたいですが、たぶんここで実現したいのは無指向性でアンテナ自体もTx/Rx
共用したいような(スマホのアンテナみたいな)環境でしょう。
TxとRxの波は、サーキュレーターとか方向性結合器とか使えばそれなりに分離できそうですが、アンテナ自体のVSWRってそこまで十分には下がらないだろうから、反射波はそれなりにあるよねぇ…
あとはADCの性能も効いてくるはずです。65dBはおおよそ2^22にあたるので、それくらいの分解能のADCが必要になります。(追記:電圧ベースだとビット数は半分かな)
(受信系のRF段にアンプは入れられないので)無線区間のダイナミックレンジを再現できるADCは実現可能なのか?
帯域幅はバンド幅の2倍あれば足りる?
まあ計算量はなんだかんだで解決されそうな気はしますが、この方式が実用レベルまでくるのはそれなりに時間がかかるんじゃないかなという結論になったのでした。